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リストラする方の辛さ

 親父がバリバリに仕事をしていた頃、世間の景気は先も見えず、どん底だった。管理職であった親父の元に、ヒラヒラとリストラリストが舞い降りたそうだ。人事から観てのリストに、親父は素直でなかった。リストラされると食うに食われぬ二人程を何とかしようと思ったらしい。二人をリストラのリストから外したそうだ。それからというもの、人事に隙を見せないように、二人に、仕事のやり方について細かく指示せざるを得なかった。これをこうやって、ああやって、こうせい、が暫く続く。自分の仕事も大変な中、二人のことを気にしていたらしい。実力の無い者が実力のないままに子会社に飛ばされるのが当時のリストラだった。私は、親父が会社を辞めてから、一度聞いたことがある、「リストラって辛くないの?」と。親父は私の前では、強がって、「リストラされたから頑張ろうっていう人もおるんやぞ」と言ってはいたが、する方も、される方も辛いに決まっている。私は黙っていた。そうこうしているうちに、親父の体を病魔が襲った。がんである。転移していなければ、復職も考えていた父だったが、悪いことに転移していた。三度の手術に耐え、体力の限界を感じ、親父は辞表を出した。退職の日、送別会があったそうだが、リストラ逃れをさせてあげた二人のうちの一人は解っていたらしく黙っていたそうだが、もう一人が親父がコキ使うという話題で荒れたそうだ。親父は我慢したそうだが、私だったら、「お前なんかどこに行っても通用しない」位のことは言うな、と思った。状況次第だが。親父の退職の日、私はピンク色のシャンパンと花束を買いに行った。花束を渡す役目はお袋に譲った・・・あれから、もう、十年以上。人一倍、寂しがり屋な親父の為に毎晩将棋を指しながら時事問題を語った。将棋も語りも熱くなってきた頃にさりげなく勝負手を指すという按配だった。親父から吸収できることは全部しておこうと思い、色んな話を聞いた。死ぬまで退屈させたくなかった。弱い親父は観たくは無かったし、親父が存命中からこのblogは続いている。弱い自分を見せたくなかったのだ。質が落ちたと御不満の方もあろうが、勘弁して欲しい。普通の一人の人間のキャパシティーを超えているのだ。

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