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竹馬の友  その6

 その店は、確かに旨い店なのだが、客の回転を早くしようという魂胆が見え見えで、何か落ち着かなかった私は、草加の『Katsu』の店長の方針には合わない街なのでは無いかと感じた。彼の意見を聞くと、同様であった。『Katsu』の良さは、『おもてなしの精神』にあるのだ。一方で、彼に、「スマホに変えようかとも考えているんだけれど、今のスマホって持ち歩けないだろう?」と話を振ってみると、彼はポケットから大小二種類のスマホを取りだし、「仕事の都合で二つ持っているけれど、大きい方はほとんど使わねえぞ」と語り、「金が三倍掛かるだけだぞ」と教えてくれた。私は、「アンドロイド搭載で、自宅のパソコンが操作できるっていうのも魅力なんだけど、電車とかで使っている連中観たら何か引っかかるんだよな・・・煙草の止められない仕組みに似ているというか・・・」と怪訝模様で語ると、彼は、いい所に気が付いているという顔で、「スマホの中毒性っていうのは、実はそこにあるんだよ。ジョブズはそれに気が付いていて、あえて、開発したんだ」との解説に、「彼には麻薬中毒だった時期があるって聞いたけれど、確信犯だったのか・・・早死にしたのはがんのせいでは無く、自殺説まで考えられないか?」と呟くと、「あるかもな・・・とにかく奴は、パンドラの箱を開けちまったんだ。言い方を変えれば、何も知らない親がガキにスマホを持たすっていうのは、麻薬をそそのかしているようなもんだな・・・煙草でもいいけれど」とまで教えてくれたので、「だから娘さん達に携帯どころか、たまごっちも与えなかったんだな・・・」と、思い出すように私は話した。「ああ、実は二人ともその事に気が付いてくれる歳になったんだよな」という嬉しい知らせを聞いた。夢中で話していると、店員がまた追い出しの準備を始めたので、「まだ八時過ぎだし、どっか落ち着いた店で語らないか?」と提案してみると、「それじゃあ、俺のとっておきの穴場の店に行くか」ということになり、勘定を済ませ、久々の夜風の中、ギャグを飛ばしながら、店替えをした。

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