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夢を語る少年 その4

 二人が卒業してから、約束通り、飯を奢ってやった。「ここの店はな、お前らみたいに困った生徒の相手をした時に、帰りに寄るんだよな」と言って、二人が食べ終わるのを観察していた。二人とも何も言わないので、『まずかったのかなあ?』と考えた後に勘定。涙が出るくらい痛い出費だった。それでも次に行く。すぐ側のカラオケボックスに昼から連れて行った。「お前ら飲みたいものがあったら何でも言え。今日は覚悟してきた」と言うと、タケルが買ってきてくれた。私は昼間から飲み放題。その勢いで、タケルも、「先生、一缶だけでいいからビール飲んでいいかい?」と聞いてきた。どうせ飲んだこともあるんだろうと思った私は、親にバレない程度ならいいぞ、とお金を渡した。何故かテツは飲まなかったし、タケルも350mlのビール一缶で止めていた(時効)。そして、何時間も順番で、みんなで歌いまくる。私は何本飲んだか記憶に無いほど飲んだ。中学生の冒険に付き合ったのである。場も和んできた頃、タケルが歌っている時にテツが私に聞いてきた。「あのさぁ、こないだの宿題だけれど、俺には解らないんだよね」と。私は、「テツ。カウンセラーになりたいのならもっと勉強が必要だ。学校や塾で学ぶものでは無くて、いっぱい涙を流すことが大切なんだよ」と応えた。「何で?」と聞いてきたので、「お前、まだ中学生だから教えてやる。それはね、人の悩みで泣ける様な人間で無ければ、本当にその人の様な気持ちにはなれないっていうことなんだ。考えているより辛い職業だよ・・・それからね、カウンセラーに最も必要なものは、包容力なんだよ。今のお前には、それが欠けている」と語った。厳しいこと言っちまったかなあ、と思ったら、私にマイクがやってきた。

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