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夢を語る少年 その2

 テツとタケルは仲が良かった。親同士が親しかったからだ。タケルは中高一貫の私立に通っていてボンボン。テツは公立中学に通っていたが生意気。二人とも、私が塾講師を始めた初年度の生徒である。苦労したが、学ばせられることも多かった。しかし、私が心を開いてゆくと、二人とも仲良しになってくれた。タケルは私立なので、中三の時に高一の英語の勉強を教えていたが、まるっきり数学が駄目だった。模試の答案用紙のコピーに、「もっと数学らしい答案を書け!!高校以降は義務教育じゃ無いんだから甘えは許されないぞ」と書いた。テツとの共通点は、二人とも宿題をやってこないことだった。タケルはボンボンだし、潜在能力があると気付いたので、やる気の無い時には、ポイントだけを教えて放って置いた(そのまま一年が過ぎたが・・・)。問題はテツの方だった。タケルとテツは仲がいい。それなのに、片方は大学を目指し、もう片方は高卒だと覚悟していた。悩ましかった。苦労していたテツは、本来、入ってはいけないという、講師室にも入ってきていた。私は彼の鬱憤を理解していたので黙っていたが、講師の中では追い出す奴もいた(いっつもそこで私がフォローを入れていた・・・テツの悩みを感じ取れたからだ)。ある時、バカ塾長が親から月謝を受け取って、ニコニコ話している時に、テツが講師室のコピー機の影に私を誘い、小声で、「あいつ、金を払う親にはおべっかも平気で使って、自分じゃあ何にも勉強のことなんか知らないくせに、ただ押しつけるだけなんだよな。それから・・・」と言った時点で親が消えたので、私は閉じた唇に人差指一本当てて、「こっちに来い」と言って、奥のロッカールームで話を聞くことにした。するとテツは、「やってられないんだよう!!」と、泣きながら私の腹をどついた。

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