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我が家のがばいばあちゃん (その8)

・私は父方のばあちゃんは、認知症になっていると思っていたが、とんでもない誤りだった。「あんた、今日は神戸見物せんのかい?」と聞くので、「ばあちゃんと話すのもなかなか面白い。今日は、行かん」というと、「そうか」の一言でしまい。新聞を読み終わったばあちゃんは、故じいちゃんの事を語り出した。「あの人はなあ、何にも悪い遊びはしなかった。ただ、仕事帰りに、梅田の阪神百貨店の本屋に寄って、めぼしい本を見付けるのだけが、楽しみやった。そして、休みの日に、そこの縁側のな、ロッキングチェアーに腰掛けて読むのが、いつものことやった・・・あの頃はなあ、ばあちゃんの方が稼いでおったんやで」と、懐かしそうに笑った。私もつられて笑い、「やるなあ、ばあちゃん」と語り、「ばあちゃんも歳やろ、もし、俺が大金持ちだったら、芦屋あたりに豪邸構えて、ばあちゃんと暮らすのになあ・・・」とまで言ったところで、異様な気配。親父の兄貴の鬼嫁が、檀家になっている寺の広報を踏みつけ、ばあちゃんに怒鳴りつけだしたのである。ばあちゃんは、賢いから、その時だけ、耳の遠いふりをした。知らんぷりである。鬼嫁がいなくなった後、ばあちゃんは仏壇を拝み(私も正座していた)、台所の神棚で、再び正座し(私も)一族のことをお祈りしていた・・・その中に、さっき、怒鳴りつけられた鬼嫁の名前もあった・・・驚きを隠せない私の心の中で何かが動き出し、涙を抑えられなくなった私は、別の部屋のソファーの上で、嗚咽しながら号泣していた。とても、私には真似できなかったからである。というより、その時には理由など解らなかった。ただ、親父も何度も、「うちにおいでや」とは言っていたらしい。

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