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我が家のがばいばあちゃん (その11)

・その後、ばあちゃんと、仏壇、神棚でのお参りを済ませると、ばあちゃんは自室で新聞、私は爺ちゃんの本棚を観ていた。全ての本にブックカバーが付けられていたので、じいちゃんの本への愛情を感じると同時に、見分けづらかったが、どの本を読んでみても、面白い。ばあちゃんに、「あんた今日帰るんやろ、早よせい」と言われたので、私は、「ばあちゃん、爺ちゃんの本棚って宝石箱みたいなものだよ・・・昔は解らなかったけれど、今の俺なら解る。週に三回は本屋をうろつくんだけれど、滅多に、いい本は無い。ここにあるのは、いい本だらけだ・・・爺ちゃん観る目が合ったんだねえ・・・もちろん女も。ばあちゃんには心に眼があるよ」と言ったら、ばあちゃんは、「そんなこと言っても何にも出てきゃせんで・・・価値のある本は、全部、親戚が持っていきよった。あんた、そんなに本が好きなら、好きなだけ持って帰り」と言い、続けて、「いつかあの人に、言うたったねん。そないに本を読んでも一文のの銭にもならんやろって・・・そしたら、あの人どうしたと思う?わてに推理小説買うてきたんや。それには参った」と懐かしそうに話をしていた。二つの本棚を、洗いざらい調べていたのだが、皮の表紙の本で、よく解らないものが出てきた。ばあちゃんに聞くと、「これはな、『浪曲』の本や。あの人好きでなあ、観てみい、皮がボロボロになっとるやろう」と教えてくれ、続けて、じいちゃんの本棚で初めて見た、松本清張の推理小説を見付けた。『ばあちゃんの言うとった本はこれや』と確信した私は、ばあちゃんに聞いてみたのだが、「忙しかったさかい、忘れてしもうたわ。それより、あんた急がんとかえれなくなるで」と言われたので、私は、「解った。やり方を変えるから、あと二時間・・・いや、一時間半だけ時間を頂戴」と言ったら、ばあちゃんも黙った。

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