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人間の営み・・・『砂の女』と『死者の奢り』と

・医者にならないという条件付きで、理Ⅲをなんとか卒業させてもらい、作家になった、安部公房の作品で、私が唯一読んだ事があるのは、『砂の女』である。この作品、何も考えずに読んだら、退屈な感じなのだが、よ~く考えてみると、流砂にでも、のみ込まれる気分になり、人間の営みの虚しさを描写している作品だいうことが、嫌という程、伝わってくるのだ。主人公は、何のきっかけだったか忘れたが、蟻地獄のような砂の中にいて、崩れるのが分かっていても、砂を掘り続ける女と出会う。主人公は、その蟻地獄から脱出しようと、何度も試みるのであるが、何度も失敗しているうちに、段々と、その女がやっている事を真似し出すのである・・・そこら辺の所に人間の営みの虚しさというものを感じざるを得ないのだ。結局、主人公はその蟻地獄から抜け出せないのであるが、『我々が日常生活というものを営む事に、どんな意味があるのか?』という意味での、強力なアンチテーゼに思えて仕方が無いのである。はっきりいって、大江健三郎の『死者の奢り』で感じた寒気と同様な寒気を感じた・・・両者とも、小説では無く、人間の営みに対して、哲学的な問いかけをされているような気がしてならない。

・安部公房に医者にならないことを約束させた教授は、「卒業させといてやってよかった。一人の天才作家を潰すところであった」と語ったそうである。

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