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謎の遺言

・墓参りに行く度に、心の中で、『おとっつあん、おとっつあん』と叫んでいる自分がいる気がして仕方が無い。私と母は、墓石を磨き、線香を上げて、父の鎮魂を願い、お経を唱える。それでも、『おとっつあん、おとっつあん』というメッセージがなかなか消えない。それで辛い気持ちになっても、墓参りとはそんなものだと覚悟する・・・父の死に際を観た際、武士(もののふ)たる生き様及び死に方を知った。幼少の頃なら泣いていたかも知れないが、三十路を越え、長男である私は、ショックでしか無かった。やむを得ず、自分で自分の人生を捨てる覚悟とは、かくたるものかと思った・・・普段、何事も無かった時には、焼酎をを飲んで、将棋などを指し、トイレから帰ってくると、「盤面が変わってンじゃあねえのか」などという因縁か文句をお互いで言っていた。親父との将棋が常習化した時、私は将棋雑誌を見て、将棋盤と駒を合わせて八万円という商品に惹かれた。私は五万出し、親父は三万出して、購入し、それで将棋を指すのが楽しみになったが、購入後、僅か三ヶ月で、親父は逝っちまった。泉下の親父に怒る気もしないが、命日の朝はヤケに早く目覚めた。飛び出して病院に向かい、親父は再び目を開いた。私が、「遺言を書いてくれ」と頼むと、『・・・・・・・・・・・・・・・・・・、ごめんな』とだけ書いてくれた。『・・・』の部分は、わざとそうしたのだろうが、『何も遺言で、謝らなくてもいいだろうに』と思わざるを得なかった。親父が八年間も苦しい闘病生活を送ってくれた代わりに、私も、その間は自分の時間を投げ出した。全然、後悔してはいない。「お疲れ様」と言いたい。

・親思ふ 心にまさる 親心 けふの日を知り 何とぞ思ふや (吉田松陰)

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