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憎めない子

・塾講師時代、地主の塾長の土地の上にあるボロアパートでお婆ちゃんと二人暮らししている生徒がいた。私は、彼が小学校の五年の時から、算数を受け持ったが、成績は決して良いものでは無かった。ある時、私の携帯電話が、マナーモードにしていたにも関わらず、呼び出し音の『となりのトトロ』の音楽が鳴り止まらなかったので、講師室に置き、みんなに、「申し訳ない」と謝った。すると、その子が、「先生、彼女から?」と言われてしまい、「お前はマセ過ぎてるぞ」と言ってごまかした・・・その後、彼が算数の分数のテストで、90点を叩きだした答案を私に見せびらかした。私は本当に感激し、「やればできるじゃあねえかよ」と言って、自分の事の様に喜んだ。その後、夏期講習には参加せず、引っ越しするかも知れない、と聞いたので、私が、「せめて、算数の教材だけでもとっておけ」と言い、それを夏休みの宿題とした・・・やがて、私にとって、ハードだった夏期講習が終わった頃、彼が私に宿題を届けてきた。「後で届けるから」と言って、暇な時間に添削していると、30分で終わったので、彼が持ってきてから、一時間以内に届けに行った。塾を辞めざるを得ない彼に、一筆書くことにした。

・引っ越した後に、彼を受け持つであろう講師に対してこんな手紙を書いた。『彼は大器です。今は解らないかも知れませんが、どうか長い目で観てやって下さい。どうぞ宜しくお願い致します。』という様なことを、必死になって書いた・・・それから半年程して、私がバスで本を読んでいると、わざとぶち当たってきた少年がいた。彼だった。私が、「近くの街にでも遊びに行ってきたのかい?」と聞くと、「そうだよ」と応えてくれた。彼の元気そうな顔を見て嬉しかったし、彼が、友達グループといても、気さくに、私に話しかけてきてくれた事が嬉しかった。

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