« 数学の話 | トップページ | 仕込み中 »

バカの卒論添削

 どこの理系の研究室も同じだと思うが、四年生になったら卒論を書かなければならない。私もその門をくぐったし、多くの先輩から可愛がられて、色々と世話になった。最低でも、三人以上の院生のサインをもらってから、教授の前に出すという方針だった。そうすると、ハンコがもらえて、発表準備に取り掛かるという体制だった。

 だから、私も修士一年の冬は、出勤しては、下の奴の論文を添削してやっていた。大体の論文は平凡で、『こういう実験をしたら、こういう結果になりました。公式通りです』という様なもので、退屈しきっていた。さっさとおうちに帰りましょう、と思っていたら、私の班の後輩が、「俺のも観てくださいよ」と言ってきたので、断る理由もなく、目を通した。そいつは勝ち誇っていたが、考察の文章が矛盾していることに気がついた。判りやすい様に、ラインA、ラインB,ラインC、という様にアンダーラインを引いて、こことここが矛盾しているという風に伝えた。

 するとその後輩は、自分が一番自信を持って書いた所らしく、帰り支度を始めていた私に突っかかってきた。「どういうことですか!!」みたいな感じで。早く帰宅したかった私は、鞄を置き、一服したいから外で話そう、と言って、研究室の入り口側で、矛盾について説明した。それは、A<B<Cと書いてあるのに、C<Aと書いているという単純な説明だった。しかし、その後輩は、自分が必死に書いたのに、何言いやがるんだコイツ、みたいな表情を浮かべ、文句を言ってきた。これは私が説明しても無駄だと感じたので、そいつの学年で、一番優秀な奴を呼んで、判断させた。すると、そいつも矛盾に気がつき、書き直しとなった。私は、「無い時間さいて観てやってんだから、素直に聞け。あと、お前は論理がおかしい所があるから、もっと本を読んで勉強しろ」とだけ言った。帰宅時間には二時間ぐらい遅れてしまった。無論、そいつの論文も駄作だったが。

|

« 数学の話 | トップページ | 仕込み中 »

学問・資格」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/521582/54007374

この記事へのトラックバック一覧です: バカの卒論添削:

« 数学の話 | トップページ | 仕込み中 »