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福井でのボランティア その6

 その日、私は、災害本部の方に、「一乗谷に行きたい」と申し出た。すると、「車がないと無理ですよ」と言われた。なんでも、一乗谷行きのバスは別の駐車場からしか出ていないとのことだった。私は、駐車場の場所と送迎バスの時間を聞き、一乗谷に向かった。

 一乗谷では、十人以上のボランティアグループに入った。後で知るのだが、皆さん地元の方達で、みんなで、ある民家の庭の泥の掻きだしを行った。その日は暑く、大汗をかいた。休憩時間になる度に、水分を補給していた。それから、出発の時、母が持たせてくれた、カリカリ梅で皆さんと塩分を採った。スコップで泥を掻き出すのは、かなりの重労働だった。しかし、人数も多かったので、その日の作業は午前中の半日だけで済んだ。駐車場には二時頃着いたであろうか、脇にある蕎麦屋で、蕎麦をごちそうになった。何か帰るのにも中途半端な時間だな、と感じた私は、ずっと椅子に座っている女の子に声を掛けた。

 「こんな所で何しているんですか?」と聞くと、「地方公務員なので、バスの送迎を観ています」と応えた。バスは三十分おきに来るのだが、最初のが来て、その子はボランティアの方一人々々に、お疲れ様でした、と形式的なお礼を言っていた。その娘が戻ってきた時に、私は、「あのなあ、みんな、ただ働きして、疲れ切っているんだから、もっと感謝した、心のこもったお礼を言わなきゃ駄目だよ」と言うと、その娘は、「そうですね」と、反省していた。素直な娘だな、と感じた私は、バスが来ていない時間は暇だろうと思い、地面にあぐらをかいて、とめどない話をしていた。私の住んでいる地方出身のバンドが好きらしく、その話などをしているうちに、次の送迎バスが来た。すると、その娘のお辞儀の仕方と、お疲れ様でした、と言う姿勢が変わった。その娘が戻って来て、すぐに私は、「合格だ」と言ったら嬉しそうな顔をしていた。時計の針は四時頃になっていたので、「俺は本部の方に戻るな」と言ったら、「お疲れ様でした」とその娘はお辞儀した。スレていない娘だなと思い、「頑張れよ!!」と言って、私は本部に戻った。

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