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「先輩、何でバナナ買ってるんですか?」

 大学四年の研究室の秋口、そろそろ卒論が忙しくなりそうだなという頃、その日の夕刻の研究室には四年生が四名、院生が二人いた。誰からともなく、「今日、飲みに行かねーか」という声が出てきた。みんなストレスがたまっていたのだろう。私も付き合うことにし、当初、消極的だった先輩達も誘った。結局、六名全員が、大学のキャンパスの側の店へと飲みに行くことになった。

 男ばかり六名で飲んでいたら、初めのうちは先輩が、卒論の事などを気遣ってくれていたのだが、酔いが回るにつれて、「論文なんて、難しく考えるからいけねーんだ。何とかなる、何とかなる」という感じで、日頃の鬱憤を晴らしていた。私も相当飲まされてしまった。

 「そろそろあがりましょうか」という一言から、お勘定は割り勘で、駅に向かって歩いていると、先輩が八百屋に入っていった。みんな道で待っていたが、出てきた先輩の手にはバナナの房が何故かある。私が、「先輩、何でバナナを買っているんですか?」と聞いたら、「これはバナナじゃねえ。バトンだ」と言って、陸上競技場に連れて行かれた。六人が、じゃんけんで三チームに分かれ、トラックを一周する事になった。よく考えると、その先輩は、陸上で国体に出たことのある方なのだ。そして、トラックを一周して、ビリのチームは、研究室の嫌われ者である女に、告白しなければならないということになった。じゃんけんをしたら、私は運良くその先輩と組むことになった。私は暑いので、上着を脱いでいた。スタートの合図と共に、私はバナナを持って二番手を走っていた。これで先輩につなげば楽勝だと思ったコーナーで、酔った私は三回転ぐらいして、こけてしまった。不覚である。

 上半身裸で走っていた私は、傷だらけになり、水で洗った後、焼酎で消毒した。そして、上着を着ると、約束通り、電話して、偽名を語ったのちに、「世界中の誰よりも貴方のことが好きです!!」と告白した。みんなが盛り上がる中で、先輩も偽名を語った後に、「先輩への口の利き方気をつけろ、このバカヤロウ!!」と怒鳴りつけていた。みんな腹を抱えて笑っていたが、今になって思うと、ひどい事したなあと思う様になってきた。

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