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パパ、いっちょう、くんま

 二歳ぐらいの頃、父が運転する車に乗る時は、私は助手席でずっと立っていた。当時は、シートベルトの着用義務も、チャイルドシートの付着義務もなかった。私は多分景色を眺めたかったのだろう。その際、父が運転している車と同じ車を見つけたら、すぐに感づいて、覚え立ての言葉で、「パパ、いっちょう(一緒の)、くんま(車)」と、いつも言っていたらしい。まだ物心が付く前だから、仕方がない。とにかく助手席で、ずっと立ちっぱなしの私を観て、当時の母は、『足が丈夫な子だなあ』と思っていたらしい。とにかく座らなかったらしいのだ。

 また、父は車の運転が上手な人であったが、助手席の私が暴れるのを止めようとして、ブレーキが遅れ、前のトラックにカマを掘ってしまったとのこと。父はハザードを出して、すぐに降りてゆき、前の小型トラックの運転手に謝罪に言った。すると、その運転手は、「こんなオンボロトラックだからいいよ。それよりあんたの車、大丈夫かい?」と言って許してくれたそうだ。父の車は、たしか右のライトが壊れていたと思う。晴れた日だったので、すぐにディーラーに持って行ったそうだ。父は怒らなかったが、事の重大さに、私はおとなしくしていた。

 私が物心ついたのも車の中の事である。三島由紀夫は処女作『仮面の告白』の冒頭で、「私は産まれたときのことを記憶している」と書いているが、嘘っぱちである。医学・生理学的にあり得ない。まあ、こんなハッタリは、どうでもいい。私の場合、幼稚園に行く前の記憶はほとんど無いのだが、何歳だか判らないが、父の運転する車で、坂道を登っている時に、コーラを瓶を飲んでいたのが、思い出せる一番古い記憶である。

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