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花見空振り

 花見に行きたい衝動に駆られて、「まだ早い」と言う母を説得し、昨日、バスと電車とタクシーとで、花見に行った。すると二分咲きぐらいで、見事に空振ってしまった。それでも、日曜だったせいか、ござを敷いている人達が何組もいた。私たちは丘の上のいつもの場所にゴザを敷き、私はビールやサワーを、母はウーロン茶を飲みながら、弁当をつついた。風は冷たく、空は曇天模様、桜はちょびっとしか咲いていなくて枝の方が多いじゃねえか、という中、寒さをこらえながらの花見となった。私は母に謝った。

 弁当が空いた頃か、桜を観るというよりも、花見に来ている人達を観察していた。私がボソッと、「それぞれの人に、それぞれの人生があり、営んでんだな」と呟くと、母は、「私も学校から見える景色を見て、短大の時にそう思った」と応えた。すると私の頭の中で、古い記憶がよみがえった。

 大学時代に、面白い先輩が居て、「お前は、この大学の一番高いところに登ったことがあるか?」と言うので、「いいえ」と応えると、「ちょっと来い」と言って、大学のベランダに連れて行かれた。すると先輩が、「ここから見える景色をどう思う?」と言うので、私は、「哀しい景色ですね」と答えたら、すかさず「何故だ?」と言われ、「最近、僕は人間の営みに絶望しているんですよ」と答えた。先輩は「馬鹿野郎!ここから見える景色の中で生活している人達のほとんどよりも、大学に通えている俺たちは、恵まれているんだぞ。お前の悩みなんて、ただの贅沢だ」と説教された。先輩の言うことが正論なので、「僕が間違っていました」と言った記憶だ。

 花見の方は、母が寒がったので、すぐに帰ることにした。私は、悔しかったので、「来週あたり、もう一回来ない?」と母に言うと、母は「もういい。弥吉(犬)でも連れて、車で来たら」と返してきた。私は再び母に謝罪した。しかし、もう一度、私だけで花見に来る事も辞さない覚悟で、その公園を後にした。

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