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延命治療

 10日程前に、母の故郷の広島に帰ったと書いた。入院している、じいちゃんに会うためだ。私が語りかけると、小さく目を開けていたが、もう、判らない様子だった。じいちゃんの鼻には酸素が送り込まれ、母は一目見て、駄目だと思ったらしい。しばらく、ある島の介護施設に入れていたらしいのだが、まもなく肺炎を起こし、別の島の病院に入院した。介護施設に入ることは、祖母が無理矢理頼み込んだらしい。半年前に帰省した母によると、じいちゃんは、全然まともで、母の料理を、心から嬉しそうに食べたらしい。今回は全く様変わりしており、広島には帰らない方がよかったのかもしれない。

 祖母は戦前、宮様のご学友だったらしいが、戦後、じいちゃんの家に嫁いだ。百姓の家に嫁がされたことを、今でも恨んでいる。六十年以上の怨念であり、性格がねじ曲がった。身内には平気で嘘をつくようになり、三回聞いたら、三回とも違う答えが返ってきていた。人を恨み、妬み、欲望の固まりになった。

 そういう祖母が、入院したじいちゃんについて、段々よくなってきていて、細かく砕いたら固形物も食べるようになった、と語っていた。話半分以下で聞いていたら、案の定、帰宅してからの電話で、流動食だ、と言った。私は、もう、何も信用しないことにした。

 母がぼそっと、「あれは延命治療なんじゃないだろうか」と呟いた。嫌なしがらみにとらわれたようで、私の心は打ち砕かれた。祖母が、もし、延命治療をしているとするならば、世間体以外の何物でもなかろう。入院して、すぐに他界したとなれば、小さな村落では村八分になる。いずれにしろ、じいちゃんは、あと二ヶ月ぐらいしか入院は出来ない。結論はその時期に出るだろう。

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