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弥七の死

 愛犬の弥七の死は突然だった。腎臓機能の低下により血尿を出し、最後は心臓が弱ったようだった。死ぬ三日前にはステーキを一人前たいらげていたのだから、徹夜で見守った夜も、死については全く考えていなかった。それだけに哀しみが大きいというものだ。

 弥七は最後に嗚咽を繰り返した。あげくに玄関の石の所に寝そべった。吐きつくしたかのようで、タイルの上に寝そべっていた。「こっちにおいで」と言ってもその体力さえ残されていないようだった。この時、私は初めて死期なんじゃないかと悟った。動物病院に行って、元気になる姿ばかりを想像していたので、悟るのが遅れた。

 私が体を軽くさすっている間に、母も眠りから覚めた。二人で見守っていると、瞬きをしないことに気がついた。しかし、呼吸はしていて脈もある。虫の息だったが。

 やがて弥七は小さく伸びをして、動かなくなった。何ににも反応しなくなった。多分心臓か呼吸が止まったからなのだろうが、それでも私は信じられなかった。余りにも信じられなくて、涙さえ出てこなかった。動物病院が開くまでの間、弥と軽く会話をした。『この家に来て本当によかったのかい?』『いろいろと教えてくれてありがとう』『おいしいもの、いっぱい食べたな』などと会話をしているうちに、死後硬直が始まった。『これで完全にお別れか』『命なんて儚いものだな』『いろいろとありがとうな』などと手を合わせて見送った。

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