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木こりの与作

 何かの塾の帰りに、小学生の私と弟は展示品のTVゲームをやっていた。夜も遅くなったし、帰ろうかというときに、母とバッタリ会ってしまった。気まずくて、私も弟も黙っていた。母は私達を地下のファストフード店に座らし、溜息をついた。私と弟はもう、二度としな(バレな)いようにしようと連れションがてらに約束した。

 塾にはちゃんと通っていたので、その晩に、おとがめはなかった。話を聞いた父も悩んだと思う。中学・高校はスクールウオーズの世界。その面子と付き合わせたくなかったのだとも思う。我が家からしばらくその話題は消えた。私と弟も早く帰るようになった。

 するとX’masシーズンがやってきた。親父は私と弟に、どんなゲームが欲しいのかを聞いた。私と弟は即答したが、父は、「近くのゲームセンターに行かないのなら買ってやる」とだけ言った。速攻で店に行き、欲しいソフトを二本買ってもらった。一本は『木こりの与作』であり、イノシシや蛇と格闘しながら木を切ってゆくゲームだった。ゲームスタートの時に、「ヘイヘイホー、ヘイヘイホー」という機械音が流れていた。もう一つは父が選んだもので、いくつかのスポーツが入っていたと思う(テニスも卓球も同じルールなのだが)。その晩は、家族の笑い声が絶えなかった。

 ガキだから、私も弟もすぐに次のものに興味が行ってしまう。私は受勲勉強で忙しくなり、弟もクラブの練習が激しくなる。

 ある日曜の、昼過ぎに試験が終わった私は、家に帰り、部屋のドアを開けた。埃をかぶるとまでは言わないが、古くなったゲーム機で、父が一生懸命イノシシと戦っていた。

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