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桃李成蹊

 もう十年以上前の事になるが、ある友人と親しくなり、お互いに忙しかったので、メールで自己紹介文を書いたことがある。男同士だったこともあり、馬鹿馬鹿しい事も書いたが、互いの座右の銘はなかなか面白かった。当時の私は、『本当』について悩んでおり、これを突破する座右の銘として、『一意専心』(一つの物事に集中しきる大切さ)と書いた。現在のNHKの、朝の連ドラに出てくる居間に、この言葉が掲げられていることには笑ってしまったが、大切な人生訓であることに相違はない。私はこの言葉を故升田幸三九段の本で知った。朝の連ドラなど観ている暇がない私でも、この相似点は面白かった。

 一方の友人の座右の銘は『桃李成蹊』(本当においしい桃や李は、自分から動き回らないでも自然と人が寄って来て、自然と道が出来る)であった。これは、彼が成蹊高校出身ということも絡むのだが、なかなか味があっていい言葉だと思う。語源は、人の徳を重んじる感があることから、多分、中国辺りであろう。

 また、『桃李成蹊』という言葉からは、芥川龍之介の『侏儒の言葉』の一説を思い出す。芥川が、かなり病んでいた頃の作品だが、『桃李成蹊』の送りがなについて述べていた。それは、「桃李言わざれども、下、自ずから路を成す」はいい言葉であるが、実際は、「桃李言わざれば、下、自ずから路を成す」であると主張していた。微妙な違いであるが、なかなか面白い。漢文の送り仮名なぞ、自8分の好きなように解釈していいと知った一冊でもある。しかし、僕は、芥川の晩年の作品を若い人が読むのには反対である。哀しすぎるのだ。

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