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見抜かれた

 横須賀線でゴトゴト揺られながら、高校生の僕は友達と話していた。・・・途中駅で友人が降りる。そうして、またゴトゴト揺られる。その頃の僕は悔しかった。好きな人に好きと言えずに縮こまっているのが。彼女は僕をどう扱っただろう?別に片思いでも何でもない。僕に度胸がなかっただけなのだ。

 横須賀線は走る。窓越しに大船観音を見たとき、僕の心は潰れそうだった。・・・遠い人を求めて。・・・今でも思い出す。確かにあの時、僕は初恋の人のことを考えていた。空しさが覆う中、自分の将来も解らないのに、遠くを見つめていた。

 つれない気持ちの中、駅で電車を降りたら、『トン』と肩をつつかれた。「何だこの野郎」と思って振り返ると、思いやりの深い眼をした現国の先生がいた。「やあ」と言われた。僕は恐縮して、駅を案内した。先生は映画を見に行くために下車した」とおっしゃっていたがそうではないと思う。私がある女を思っていたことを見抜かれたのだ。直感で解った。僕は気持ちを切り替えて、上の人に対する言葉を使っていた。それでいいのだが、あの日の先生の心情までは伺えない。これが辛いところでもある。

 客観的に観る。その先生はいつも読書をされていたが、教え子のやるせない表情に見入る(そんなつもりではなかったのだが)。多分、僕の眼の動きや何やらで、「果たせない恋」を直感したんだろうと思う。

 素晴らしい先生だったし、生徒も気合いを入れなければ。

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