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骨を拾う

 先日、父と私の行きつけの床屋の二代目が、我が家にやってきて、親父さん(初代マスター)が亡くなったことを、わざわざ歩いて知らせに来てくださった。昨日がお通夜で、私の父が会葬した。私にとって、お葬式といえば忘れられない記憶がある。

 私が一浪していたときに、親戚のおじさんが五十代にして亡くなった。私たち家族は、告別式に会葬したのだが、おじさんが銀行のお偉いさんだったこともあり、信じられないくらいの方々が会葬してくださって、坊さんの読経が終わっても焼香が続くぐらい長いものだった。

 その後、親族が火葬場に行ったのだが、火葬用の重そうな扉が開き、中に棺桶が入ってから、数十分後に呼ばれ、再び重そうな扉が開くと、台の上には、まだパチパチと音を放つ赤っぽい骨だけが残っていた。そのリアリティに、私は強烈なショックを受け、この残酷な扉が冥界への扉なのかと思った記憶がある。気丈な親戚のおばさん(父の姉)も、旦那だったおじさんの骨を見た瞬間、父の胸にしがみつき、ハンカチで涙を拭っていた。その後、親類だけで骨を拾い、骨壺に収めた。

 普段、死んだ後のことなど考えていなかった私は、火葬場からの帰りのマイクロバスの中、窓から見える人、全てが骨に見えた。なんて人は危うげで儚いんだろう、という気持ちがあふれかえっていた。

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コメント

生き物はいつも死と隣りあわせなのですよ。

投稿: yoki | 2007年10月29日 (月) 21時53分

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