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銀河鉄道の夜

 宮沢賢治の「銀河鉄道」は「幻想四次元冥界列車」である。それが明確に解るのが、主人公、ジョバンニの切符を車掌が拝見するときである。車掌は言う「これは三次元空間からお持ちになったのですか?」と。そして、その切符なら最果てまでゆけること言う。これは、きっと、ジョバンニの清い心がもたらしたものだと推測できる。このとき、親友のカムパネルラとジョバンニは銀河鉄道に揺られながら、色々な乗客と出会う。後になって解ることなのだが、この、「幻想四次元冥界列車」は様々な死に人とを乗せている。カムパネルラも例外ではない。バックに伺えるのは、現世で亡くなった死者が、より高次元の方へと向かうという思想である。

 宮沢賢治は熱心な仏教徒(日蓮宗)であった。詩集にしろ、童話にしろ、一貫して、何というか、仏教的な命の崇高さが根底に流れている。他の作品についても後日述べるが、「銀河鉄道の夜」にもそれを伺わせるストーリーがいくつかある。例えば、タイタニック号の乗客の死に人も載っている。ここで、象徴的なシーンは、いざ、船が沈むときに、賛美歌か何か知らないが、三〇六番がどこからともなく聞こえてきて、死に行く皆が、様々な母国語でそれを歌うというシーンだ。人間の魂の敬虔さを物語っている様に思えてならない。  同じく、クライマックスで、いじめっ子のザネリを救うために、川に飛び込んだカムパネルラが、身を挺して犠牲になったシーンにも、仏教的な生命愛を感じる。それは、数年前、新大久保駅で日本人と韓国人の留学生が、線路に落ちた人を救うために飛び込み、自分たちも犠牲になってしまったことと同じだと思う。・・・生き物の無意識下に於ける敬虔たる美しさ、(人間だけに限らないし、見返りを求めたりしない)とでもいうものであろうか。

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