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台湾紀行(その2)

 バスを降り、宿泊予定のユースに向かおうとした私の前に、老人が立ちはだかった。寝ぼけ頭で話を聞くと、日本語だ!台湾のお年寄りは日本語を話せる方が多いとは聞いていたが、いきなり出会うとは。なんでも、自分の宿に泊まらないかと、私を勧誘している。ユースに予約を入れてある旨を伝えたが、極度に不便な場所らしい。とりあえず、部屋を見せてもらい、日本語が通じる安心感も手伝って、じいさんの宿に泊まることに決めた。そして、ユースに断りの電話を入れてくださいと頼んだ(中国語解らないから)。宿に荷物を置き、じいさんが紹介してくれた、気のいいタクシーのおっちゃんと湖を一周することにした(値段は当然、交渉した)。ズーゲッタンとは日本語で読むなら日月譚(にちげったん)で、台湾中央よりやや北部にある、周囲約25km位の湖と記憶している。タクシーのおっちゃんとは英語で微妙にコミュニケート。いろんなところで止めてくれたが、おっちゃんの言いたいことはよく解った。一番印象的だったのは、湖の島が地震でかなり沈んでしまったということだった。その途中で、あろうことか、日本から持ってきたインチキみたいなカメラがぶっ壊れた。

 一周して元の場所に戻り、おっちゃんにお礼を言うと、じいさんを捜した。じいさんは宿の隣のカメラ屋におり、運のいいことにカメラ職人だったのだ。壊れたカメラを見せると、「これは直らないなあ」と言う。私が「こうしてみましょう」「ああしてみましょう」と言って、二人で試行錯誤している中、じいさんが「私の末の娘が英語の教師をやっとる。掛けてみるから応えてくれんか?」と、携帯を取りだした。私は焦った。電話でのやりとりほど意思疎通の難しいものはないからだ。

 まもなく英語で「とりあえず、お話は伺いましたが、どうしましたか(どうなさりたいのですか)?」という問いかけがやってきた。聞く分には解る。しかし私は、中途半端にぶっ壊れたままのカメラの説明をどうすればいいのか迷った。そもそも何で電話しているのかも解らない。曖昧な返事と「・・・」が続く中、焦りは増す。最後には「聞こえてますか?」とまで言われた私は、メチャクチャに単語を並べて、「日本から来た観光客で、今、ここにいます。カメラが壊れてしまったのですが、@X&%・・・」みたいなことを言って、じいさんに代わってもらった。じいさんは調子よく母国語で話している。カメラも治ったみたいだ。これでは何のために電話したのか解らない・・・多分、じいさんの娘自慢につきあったというところか。

 晩飯の時間になり、じいさんが「どうする?」と聞いてきた。私が「台湾料理は屋台でも食べました。今日は中華料理でも食べたいです」と言うと「そうか」と頷き、店を紹介してくれた。店に入った私は紹興酒を頼み、女将が言うとおりに適当に注文してしまった。気が付いても、時すでに遅し。私のテーブルには、恐ろしい数の皿が並んでしまった。『こんなに食えるわけねーだろ』と思いつつ、どこから箸を付けようか迷っていた。

(つづく)

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