« 台湾紀行(その3) | トップページ | 様々な色の詩 »

台湾紀行(その4)

 台湾中部の阿里山(あーりーさん)はかなり標高が高い。夏でも薄ら寒く、雲の中にいるような錯覚を受ける。阿里山→嘉義(かぎ・阿里山の西側の麓の街)には、日本統治時代に建設された山岳鉄道が、夏のシーズン中、一日に二本往復する。私は駅を探し当て、麓に降りる列車の切符を購入した。三十分ぐらいしてからであろうか、列車が入線し私も乗った。まもなく出発した列車は、森を抜けてゆく。ほどなくスイッチバックでジグザグに降りだした。『よっぽど急なんだな』と思いつつ、車内のぬくもりで再び眠りに堕ちてしまった。

 気が付いて時計を見ると一時間以上が経過している。耳がツーンとなり、唾を呑む。まもなく列車は麓の嘉義という街に着いてしまった。これでは、何のために早起きしたのか解らない。昼過ぎだったが、早速宿探し。ガイドブック片手に宿がありそうな辺りをうろつく。とりあえず一軒見付けたので、中に入ってみる。「ニーハオ」とお互いに挨拶を交わし、宿の交渉を始めるも、中国語だ。仕方ないので手帳を取り出し、「我望此地宿泊(ここに宿泊したい)」みたいに適当な漢文を書いてみた。どうやら通じた様子。宿賃を払うと、部屋のキーをくれた。その後もこの手帳はかなり重宝した。さて、部屋に入り、やはり荷物を下ろし、しばらく、ぼんやりくつろいでいたのだが、街に出てみたくなった。フロントに行くと、鍵を預け、ガイドブックの地図を指さしながら、「何処在食事処?(食事処はどのへんですか?)」みたいに、やはり適当に漢字を並べた。食べる仕草もして聞いてみると、地図の一部を指さしてくれた。「シェイシェイ」と言って、外に出た。

 しっかりと宿の位置を頭にたたき込んでから、ふらりふらりと街を歩く。土地勘を養うには歩くのが一番だ。まもなく、この街は判りやすく出来ていることが解った。それ程大きな街でもなく、路地も比較的狭い。ある露天の店で紅茶を飲んでいると、その店の関係者が何人かいたので、中国語で「チンウェン(excuse me)」と言ってから、英語でいろいろと聞いてみた。たむろしている中の、若い男の店員が、私と同じく、でたらめな英語で応えてくれた。デタラメならデタラメ同士で何故か通じるから不思議だ。夜店の場所や、土地のものを教えてくれた。お礼を言ってから、街の中心部に行くと、夜店などまだやっていない。かといって、夜遅くまで待つ気もしない。適当に歩いて食事を済ませて宿に戻ることにした。

 宿に戻り、荷物をいじっていると、日が暮れた。実は、この時、私は迷っていた。この嘉義の街から南へ向かうか、寝てしまった阿里山にもう一度行くかで。ガイドブックを見ると、阿里山にも宿泊施設がいくつかある。・・・迷ったあげく、ろくに景色を見ていない悔しさから、もう一度、阿里山に上ることに決めた。とりあえずフロントに行くと、先ほどとは違う人が番をしていた。運のいいことに、その人は英語がしゃべれた。まず、阿里山行きの一番列車の時間を聞いた。次に、頂上の宿泊施設に予約を入れてもらった。お礼を言い、近くのコンビニで翌日の朝食用のサンドイッチと、晩酌用のビールを購入した。

 部屋に戻ると、一人ビールを飲みながら、次の日午前九時の登山列車に向け、八時には駅に行こうと決めた。部屋の電気を消し、慌ただしかった一日を振り返る暇もなく、眠りについた。

(つづく)

|

« 台湾紀行(その3) | トップページ | 様々な色の詩 »

旅行・地域」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/521582/54005996

この記事へのトラックバック一覧です: 台湾紀行(その4):

« 台湾紀行(その3) | トップページ | 様々な色の詩 »