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切符とおつりの不確定性原理

 十年くらい前、独りでヨーロッパを旅した私は、その数年後、何かの集まりの二次会で、その時の話をするように先輩から求められました。

「往復は、アエロフロート、ロシア航空でした。行きにモスクワで一泊したのですが、その時ホテルに案内してくれた空港の女性が、とても素敵でチャーミングでした。『地球の裏側でこんな出逢いが待っていたとは・・・』と思った僕は、いっそのこと旅を止めてこのまま日本に連れて帰ろうかと考えましたが、捕まった時の、旧KGBの拷問を恐れ、泣く泣く諦めました。傷心の僕を慰めてくれた月はやけに低かったです。多分、緯度のせいでしょう」

 などという「つかみ」から入り、簡潔に旅の話をすると、再び帰路のイスタンブールでの空港の話になりました。

「チェックインの前に列が出来だしたので、僕もすぐに並びました。一時間以上は待ったと思います。行列が出来ても、カウンターの係員は時間まで知らん顔でお喋りをしている。ロシアらしいなと思いました。でも、もっと驚いたのは、受付が始まると、行列が崩れ、波となって押し寄せ、割り込みまくるんです。ほうほうの体で、なんなんだ、この国民性はと呆れていました・・・と、そういえば、今年、初めて大阪に行ったのですが、大阪人、切符売り場で並ばないんですよ。それにも驚きました」

 すると、一人の先輩が、

「大阪人についての本によると、やつら、切符よりもおつりを先に取るとか・・・」

 これ以上、この話題を続けると、悪口か偏見になると感じた僕は咄嗟に、

「ちょっと待って下さい。もし、1000円札で900円の切符を買うなら、当然、切符から取ります。でも、5000円札で130円の切符を買う場合・・・俺も、おつりを先に取ります。・・・問題は1000円札で500円の切符を買う時です。切符を取るかおつりを取るか・・・切符とおつりの不確定性原理・・・こんなこと言ったら物理屋さんにおこられますよね」

 何とかこの話題を止めた私は、その晩、調子に乗りすぎて飲み過ぎてしまい、終電を逃し、切符さえ買うことが出来なかったのでした(涙)。

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