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老人と海

 中学一年の夏休みの課題図書でヘミングウェイの「老人と海」を読んだ。短編で内容も面白かったので、一気に読んでしまった気がする。記憶違いもあろうが、大まかなあらすじを述べると、『まず、老いた漁師が、長年使っている自分の、決して大きくはない船で漁に出る。すると、数年来の大物(たしかカジキマグロ)がかかり、それを仕留めるのに、持てる力の全てをかけた末に、銛を打ち込み死闘を制す。しかし余りにも沖まで流されてしまったため、(たしか)手漕ぎの船で港に戻ろうとするが、途中で獲物にサメが何度も食らいつき、懸命に追い払うのだが、ほとんど全てを食べられてしまう。結局、港に戻った頃にはカジキマグロの大きな頭だけが残り、他の漁師達はねぎらいの言葉をかけるも、老人は疲れ果てただけで、酒場で一杯やる』というようなストーリーだった筈だ。何故、今頃こんな事を思い出すのかというと、読んだ当初は幼く、ただ面白かっただけだったのだが、ついこないだ、実はこれは現代アメリカのマッチポンプぶりを予言した強烈なアイロニーだったのではないかということに気が付いたのだ。

 アメリカの歴史といえば、聖地詣でという建前でイギリスから逃げてきたピルグラム達が、最初東海岸に住み着き、主に宗教を建前に西へ西へと原住民(インディアン)の地を侵略してゆき、果ては西海岸にまで住み着いていったというのが基本だ(このことを詳しく歌い、アメリカのやり方を批判したアメリカのバンドの曲がある。EAGLESの「The Last Resort」だ)。

 また、政治的には、当初は中立主義であったのが、大戦中に「民主主義を守る」という名目に変態して連合軍に加担し、戦後の冷戦の中ではこのイデオロギーのもと、共産主義圏と実際に朝鮮半島やベトナムなどで戦争を起こした。その後、冷戦終結を境に今度は、国連を引きずり込んだ湾岸戦争、人道支援という名目でのソマリア派兵(映画「ブラックホークダウン」参照)、現在の泥沼化したイラク戦争に至っている。未だ帝国主義的だと世界中の国から指摘されている。

 軍隊の存続意義のためや、その他のために戦争が必要悪になるのも現実だ。なにも、アメリカのやり方の批判ばかりをする気はない。なぜならば、もし、その時その時にアメリカのような国が無かったならば、世界はもっと悪い方向へと向かっていった可能性も否定できないからだ。しかしながら、、アメリカの歴史の原点から辿ってみるに、どんどんと何もかもが(文化的には欲望のままに)膨れあがり、現時点では暴走しているととらえるのが妥当なのではないか?・・・ここに沖に流され過ぎて、結局、カジキマグロの頭という「意地」だけが残ったヘミングウェイの老いた漁師が重なるのだ。

 物事は表裏一体、巨大な反動がこないことを望むばかりである。

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