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チーフごめんな

 高校生(男子校)の頃、よく学食で昼食を摂っていた。メニューは、定食二種類、麺類、カレー、チャーハン、その他、だったように記憶している。もちろん弁当も持って行くのだが、そんなものは朝、食ってしまうのであった。食券はプラスチック製(いろんな色があった)で、予めそれ買っておいてから、昼休みに長蛇の列に並ぶのである。昼休みといっても40〜50分しかなく、長いときには10分以上並ぶことになり、貴重な休み時間の無駄に繋がることもしばしばだった。そんな中、ロイというあだ名の友人はご飯とコロッケのみを単品注文し、安く早くたいらげるものだから、そのメニューは、いつしかロイ飯と呼ばれるようになった(真似するやつはいなかったけれど・・・)。なんだかんだで、俺たちは食堂で働くおばちゃん達とは仲良くやっていた。

 だがしかし!

 ある日、食券を買いに行くと、厨房に見知らぬ男がいた。なんでも食堂を管理する会社が変わったらしく、その男は、おばちゃん達から「チ−フ」と呼ばれていた。それだけなら何でもないのだが、事件はまもなく起こったのだ。経営改善のためか、ある日を境に突然、カレーの量が明らかに2/3程度に減らされたのである。値上げではなく、量を減らすという姑息な作戦の断行を指示したのは、紛れもなく「チーフ」であることはみんな察しがついた。やがて、カレーの列に並ぶ生徒は日に日に減っていった。

 これは、育ち盛りの俺たちにとって大きな事件だった。このままじゃいかんと、イタズラ好きな俺たちは、あらゆる食券の裏に告訴文やチーフへの文句を油性のマジックで書き殴ったのである。食券を表にして出したらまずバレないからだ。

「チーフ返れ、おまえが来てからカレーの量が減った!」 「カップラーメンよりまずいラーメン売るんじゃねえ!」 「くたばれチーフ、無愛想に突っ立ってねえで働け!」 などだ。

 それからしばらくは、その食券運動が続き、チーフの目付きも、日増しに恐ろしくギラギラしだした。だが、それでもカレーの量に変化はなかった。そうしてまもなく、紙の食券機が導入されたのだ。

 ・・・今思うに、チーフの独断ではなかったであろう。そして、何よりも、陰険で幼稚な行いをしてしまった自分を恥じる。でもその時は、そういう流れだったし、時流には誰もかなわない。だからこの場でネタにしたことも含めて詫びる。「チーフごめんな」

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