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祝・永世名人誕生(将棋)

 昨日、将棋の名人戦で森内俊之名人が郷田正隆九段を破り、晴れて十八世名人の称号を手にした。永世名人とは名人位に通算五期、在位した者にのみ与えられる称号である。前回の谷川浩司十七世名人が誕生してから十年ぶりのこととなる。

 羽生世代の中でも、特に羽生、佐藤、森内は若い頃から三羽ガラスとよばれ、その才能を周囲から嘱目されていたと聞く(何かの本には、この三人は車に例えるならばF1マシンみたいなものだ、と書いてあった)。ある先輩棋士が若い頃の三人を呼んで研究会を行ったのは有名な話だ。その棋士は三人全員がまだプロになっていない頃から目を付けていたというのだから、よっぽど才能に満ちあふれていたのであろう。佐藤は名人在位二期、羽生は四期で永世名人にリーチをかけている。私は十八世名人はたぶん羽生だろうと思っていたし、同じように考えていた方も多いのではないか。これは森内には失礼な話であるが、それだけ他の二人に比べて、遅咲きだった。森内にとって、初のタイトルは羽生が七冠を達成してから約五年後の名人位。名人に成る実力が有れば、当然他のタイトルを取っていてもおかしくはなかったので、これも私の中では驚きだった。かつて、羽生、佐藤が先行する中、なかなか結果が出なかった森内は自身にもどかしさを感じると同時に、大きな屈辱感があっただろう事は容易に想像がつく。それだけに今回の快挙は感慨深いものがあるであろう。

 かつて、「羽生マジック」という言葉がよく聞かれた。相手棋士の読み筋に無い手を差し、数手後にその手が伏線となって絶大な効果をもたらすことから、そう呼ばれていた。しかし、最近ではこの言葉をあまり耳にしない。恐らく、それだけ他の棋士が研究を重ねたことによるのではないか。聞くに、最近の棋士は昔の棋士ほど遊ばず、最新の研究に余念がないとのこと。囲碁の藤沢秀行のような豪傑たる生き様が、現代では通用しないのならば、少しばかり寂しい気分にもなる。盤上だけではなく、やることなすこと全てが輝きを放つ様な圧倒的な存在感、魅力に満ちあふれた個性、型破りな生き様、・・・そんな人物に憧れを抱くのは私だけではないだろう。

 将棋の名人位の話に戻すと、故芹沢九段の話を思い出す(「男の花道」・色川武大著)。幼少期から名人位を目指し、挫折し、自分の生きる根拠を失い、滅びていった棋士である。氏は名人位を、世の中の他の何物とも代えられないの絶対的なものと信じ込んでいた。氏にとって名人位こそが神だったのかもしれない。「他のタイトル全部合わせても、名人位の方が格上だ」氏の言葉である。この言葉は、「名人以外の棋士には価値がない」という様にも受け取れる。しかし、これまでの将棋史を振り返るに、どれだけ多くの棋士が夢叶うことなく、散っていったか・・・儚いものである。

 棋士みたいな生き様は男にとって憧れである。男同士が己の全てをぶつけ合う姿は、見る者に沈黙を強いる。私の場合、戦術などにも興味はあるが、それよりも、美しい一幅の絵のような対局の光景を、これからもずっと眺めてゆきたい。

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